Briefing Note
Topics: Region/Country: Language:
Japanese

ゼロ・デフォレステーションの取り組み -サプライ・チェーンを通じた途上国の森林減少抑制-

2018-02

商品作物の国際的サプライ・チェーンが途上国の森林減少に大きな影響を与えている。森林破壊に由来する商品作物を原料として利用する企業に対する批判が高まり、これに対応して森林減少を伴わない形で生産された作物をサプライ・チェーンの中で取り扱う「ゼロ・デフォレステーション」の取り組みが始まっている。2014年に「森林に関するニューヨーク宣言」が国連気候変動サミットで採択され、「世界の天然林減少率を2020年までに少なくとも半分に抑え、2030年までにゼロにする」こと、そのために「農産物生産による森林破壊を2020年までに排除するという民間セクターの目標達成を支援する」ことが目標として盛り込まれた。日本でも、認証制度を活用したゼロ・デフォレステーションの取り組みも広がりはじめている。日本への商品作物の輸入は、サプライ・チェーンを通じて途上国の森林減少を引き起こしている可能性があり、日本企業や政府にもゼロ・デフォレステーションの取り組みが求められている。そのためにはまず、日本に輸入されている商品作物がどの地域で生産され、森林減少の要因となっているのかについての情報収集が必要である。中南米諸国からの牛肉・大豆に関してはサプライ・チェーンの情報が整備されつつあるが、日本に輸入されている商品作物に関しても同様の情報整備がなされていくことが望ましい。木材に関しては、2017年5月に施行された“クリーンウッド法”は、国や木材輸入事業者に対し、木材生産国での生産状況の情報収集・確認を求めており、これらの情報はゼロ・デフォレステーションの取り組みにも寄与すると考えられる。RSPO認証パーム油や認証材の調達で指摘されているが、多くの企業ではそれぞれの取扱量は少量であることから、企業独自で複雑なサプライ・チェーンを把握し、ゼロ・デフォレステーションの取り組みを進めることは困難であり、コストもかかる。このため、商品作物のサプライ・チェーンに関わる国内外の企業や金融機関、政府、NGO、研究機関等で情報を共有する仕組みを作り、ゼロ・デフォレステーションの取り組みを促進する基盤整備が必要であろう。整備されたサプライ・チェーンの情報基盤により、商品作物生産国における森林減少抑制効果を定量的に評価できれば、ゼロ・デフォレステーションの取り組みを通じた温室効果ガス排出削減や生物多様性保全への日本の貢献を国際社会に報告することも可能となるであろう。

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