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Topics: Region/Country: Language:
Japanese

シカの寡占する京都府芦生研究林における中大型哺乳類相とその季節変動パターン

In 日本生態学会第64回全国大会 15 March 2017, Tokyo
Author: 
Yoshihiro
NAKASHIMA
Hidemi
NAGANO
Rintaro
IKEGAWA
Atsushi
TAKAYANAGI
2017-03

近年自動撮影カメラの技術的発達により、中大型哺乳類の長期モニタリングが非常に容易になった。このことから今後、中大型哺乳類の生態について多くの生態学的知見が新たに得られることが予想される。その一例として京都大学芦生研究林上谷の152 haの範囲に20ランダム点を選定し、自動撮影カメラを設置して2013年~2016年の4年間、中大型野生動物の定量的なモニタリングを継続して行った。

撮影された全枚数のうちニホンジカは8割近くを占めたが、他にも11種の中大型哺乳類が撮影された。特に注目すべき点は、奥山にも関わらずハクビシンが相当程度生息していること、2000年代以降目撃数が激減したニホンカモシカを1回であるが記録したことである。また撮影頻度には大きな季節変動が見られた。ニホンジカの撮影頻度は毎年4-10月にかけて高く、12-3月の撮影は僅かであった。このため冬季は低標高域に移動しており、冬季に行う狩猟成功率や区画法などの指標では夏季の生息密度、さらには食害圧を推定することは難しいことが推定された。

現在糞塊法などによって全国的なニホンジカの生息密度分布が推定されているが、本研究からは生息密度分布は季節的に大きく変動しており、一時間断面での密度調査からは十分実態を反映しているとは言えないことが示唆された。今後は様々な場所で定量的な自動撮影カメラによるモニタリングが実施されることによって、季節的なニホンジカ個体群の移動、またそれを支えるランドスケープ構造が明らかにされることが期待される。